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NYTimes 原発事故のシミュレーションモデルについて

日本の地震学やリスクマネジメントは現在、あまりに決定論的で、最近のリスクマネジメントの趨勢である確率的アプローチが欠落しているという、元東芝のエンジニアのコメントがNYTによって報じられたことがある。

Reliance on old science left nuclear authorities unprepared for tsunami(Norimitsu Onishi and James Glanz)

では具体的には確率的アプローチとは何かという続報のような記事が掲載されている。海外の監督機関や、原子力関連企業は、皆、今回の事故に対するシミュレーションモデルを持っており、それに基づいて、現在、発生している事態を分析し、炉心内部で何が起こっているのかを想定している。

さきほどの記事の中で元日立のエンジニアがインタビューに答えたように、日本にこういった、アクシデントマネジメントにシミュレーションモデルを活用するという経験値がないとしたならば、まさに、現場はblind状態で戦っていることになる。

ここでもまた、確信犯かどうかが気になる。メディアに登場する大学教授やその他の専門家たちもこういったシミュレーションモデルを隠し持っていて、事態は完全に把握しているが、パターナリズム的に、それを開示していないという方が、彼らが、アクシデントマネジメントにおいて、竹槍しか持っていないというよりははるかにましである。

シミュレーションモデルなど、信憑性がなく、ただ、いたづらに、信憑性の外見だけを与えるのだという明確な批判意識があるのでもいい。

彼らの、無言の果てにあるのが、当事者能力の欠如であることだけを、ぼくは恐れる。

(ニューヨークタイムスの記事の全訳ではないので、原文を参照してください。)
From Far Labs, a Vivid Picture Emerges of Japan Crisis(By WILLIAM J. BROAD)

海外の多くの研究所では、おそらく日本の現場よりも詳細な炉心内部の分析が出来ている。そういったことを可能にするのはSafety Codeと呼ばれるコンピュータシミュレーションモデルであるという内容。

例えば、フランスの原子力企業による分析は日本が福島の原子炉の現状についてこれまで日本側が説明したものよりはるかに多くの情報を明らかにした。たとえば、原子炉の炉心の水のレベルが、4分の3近く下がっており、炉心内の温度がほぼ華氏5000度にまで上昇し、燃料棒を守っているジルコニウムの容器を燃焼させ、溶融させるまでになっているなどである。

欧米の科学者たちはまた発生した水素ガス爆発を観察することによって、原発の燃料棒が極めて危険な水準にまで熱せられていることも知ることができている。さらに放射性の水蒸気の柱から、燃料棒がどこまで解体されつつあるかも予測している。

同時にこのシミュレーションによって福島第一の原子炉は最悪の帰結、すなわち原発の完全なメルトダウンは回避していることも示している。

これらのコンピュータに基づく科学捜査システムcomputer-based forensic systemのほとんどは、1979年のスリーマイル島で起こった部分的メルトダウンの後に開発されたものである。規制当局は、スリーマイル島の事故が起こった当時、原子炉内で何が起こっているかについて事実上盲目だったことに気づいていた。それ以降、規制当局を満足させるために、原子力発電所を運営する企業は,原発から生じる多くの情報の断片をかき集めて、原子炉内部で起こっていることのシミュレーションモデルを構築したり、多様なリスク評価を行ったのである。

実際、金曜日に米国エネルギー長官のSteven Chuが記者会見で原子炉の一つの炉心の約70%が損傷しているという発言をしたときの、日本の原子炉についての詳細な評価はこの調査モデル(forensic model)から得られたものである。

原子炉の中で冷却水がどれくらいの間不足していたか、原子炉から放出されたガスや放射性粒子などの情報までさまざまなデータを入力することで、このシミュレーターは、加熱した炉心の溶融状況についての詳細なポートレートを出力するのである。

今では、多くの政府や企業が、それぞれにこういったコンピュータプログラムを開発している。業界ではこれをSafety Codeと呼んでいる。

MITの原子物理学の教授であるMichael W. Golayによると、スリーマイル島の事故が原子炉の評価能力があまりにも低いことを露呈した後に、「コードはどんどん改善されてきた」と述べた。

今回の日本側の事故に対する説明は、守秘の観点がかなり強く、場合によっては完全に秘密にされている。事故に対する分析を公表するに、電力業界や政府がきわめてセンシティブになっている理由の一つは、先例がほとんどないということもある。原子力ブームの中で600近くの民間の原発建設が行われた。しかし世界原子力協会によると、原子炉の炉心がメルトダウンするような深刻な事故は過去3件しかなかったという。

今回の福島原発事故を受けたシミュレーションによると、今や、日本の危機の結果、原子力シミュレーションによると、福島第一原発のメルトダウンのある段階では、原子炉の3機での深刻な事故の発生件数が突然2倍になることを示唆している。にもかかわらず日本の規制当局は、警告やパニックを引き起こしかねない暗鬱な技術的な詳細分析を回避しようとしている。


「日本の規制当局はそういった事態を望んでいない。安心感を与えるための情報操作ばかりが行われている。」と1993年から1999年までエネルギー長官の政策顧問だった専門家のRobert Alvarezは言う。

日本の事故が、ペンシルベニアのスリーマイル島のような展開をするとなると、こういったシミュレーションモデルの利用はしばらく続かざるを得なくなるだろう。スリーマイル島の原子炉の破損した炉心をエンジニアが目視できるようになるまでに3年以上かかっているし、破壊状況のマップ化にはさらに1年がかかった。その頃には炉心の半分以上が溶融していたのである。

民間原発の過去の主なメルトダウンは1979年のスリーマイル島、1980年のフランスのサンローラン原子炉、1986年のウクライナのチェルノブイリで起こった。

スリーマイル島の事故の後に作成された最初のシミュレーションプログラムSafety CodeはModular Accident Analysis programである。中程度のコンピュータ上で走るこのモデルは、原子炉の危機を、停電が続いた時間,放射性物質の分布などのような入力情報に基づいてシミュレーションしている。
シカゴ近辺にあるエンジニアリング会社のFauske & Associatesでこういったコードを開発しているRobert E. Henryによると、原子炉で大きな事故が起こっている最初の兆しは、水素の放出だという。可燃性の高い水素ガスは、福島第一においても数回大きな爆発を引き起こした。インタビューの中で、彼は、このガスは冷却水の水準が低下して、加熱された状態の燃料棒が露出しているということを示していると述べた。

Henry博士によれば、その次に気にすべき警告は、放射線のさまざまのタイプが発生することである。これは次第に炉心の温度が高まり、溶融が生じていることを示している。

先ず、「炉心がどんどん加熱されると、ヨウ素131やセシウム137のように核分裂の結果、簡単に蒸発しやすい物質が外部に放出される。温度がさらに高くなり、炉心が完全に溶融する危険が生じてくると、揮発性が高くない、ストロンチウム90やプルトニウム239までが蒸気の柱に含まれてくるようになる。

ストロンチウムやプルトニウムの分子が上昇する水蒸気の中に含まれるようになると大幅な燃料の溶融が起こっている可能性がある。

彼のチームは日本の事故の初日にモデルを作成し、炉心の完全な溶融ではなく、部分的な溶融を識別している。

ニュージャージー州Montvilleのソフトウェア会社マイクロンシミュレーションテクノロジーは、自社のコンピュータシミュレーションモデルを使って今回の事故をモデル化した。そのシミュレーションによれば、原子炉の炉心部の温度は、2250度Cか4000度Fにまで上昇し、多くの原子炉の金属が溶融しているという結果が導きだされた。

彼らによると、炉心の一部は溶融していることがわかるという。というのも、今回の事故は、モデル化しやすいからだ。理由は最初の数時間や数日に起こった観察されたのが、常に最悪の厳しい状態だったからである。加熱された炉心を冷却するために注入する水もなかったのだ。

「福島で起こっていることに、なんの謎も、不正も存在しえない。それほどまでに起こっていることがひどいのだ。」

こういった原子炉シミュレーションのビッグプレイヤーは、連邦政府の研究所や、GE,ウェスティングハウス、Arevaのような原子力企業である。
アルバカーキーのThe Sandia National Laboratoriesが作成したシミュレーションモデルが最も評価が高い。このモデルは全ての原発をモデル化しており、全米の原子炉を監督するワシントンの原子力規制委員会の主要なツールとなっている。

Arevaやフランスの監督官庁はCathareというシミュレーションコードを使っている。

3月21日に、スタンフォード大学は、原子力関連のグローバル企業Areva NCのEVPであるAlan Hansenを主要なスピーカーとして招聘し、日本の今回の危機についての招待制のパネルディスカッションを開催した。

「明らかに、我々は、現代における最大の災害の一つを目撃しているのだ。」とHansen氏は言った。

原子力エンジニアのHansen博士は、同社のドイツ部門が準備したスライドショーを示した。この部門は、この事故を当初から詳細に分析し続けているという。

このプレゼンテーションでは、事故発生、当初の数時間や数日間の事態の展開についての詳細説明がなされた。それによると、冷却水の水準が低下したため、原子炉の炉心の4分の3が露出し、温度がピーク時に、2700度Cあるいは4800度Fに達した。これは被覆(cladding)と呼ばれる燃料棒を包む、金属の外殻の主要な要素である、鉄やジルコニウムを溶融できる
のに十分なほど高熱である。

「この状況では、被覆部分のジルコニウムは燃え始めている。ピーク時には、ウラニウムジルコニウムの共有合金の溶融も経験することになる。」
原子炉の断面図のスライドが、炉心の中心部で溶け始めている燃料棒の加熱した塊を示しており、メルトダウンの中で、核分裂物質が放出しはじめていることを示した。この物質には、癌や、他の深刻な病気を引き起こす放射性物質である。

Hansen博士を客員研究員として招いたスタンフォード大学は、この3月のプレゼンテーションの後に当該スライドをオンライン上で掲載した。当時、この30枚のスライドには、ArevaのロゴとMatthius Braunの名前が書かれていた。

その後、掲載された資料からArevaやBraun博士の名前は全て取り除かれた。彼らは、福島事故の分析のためにどのようなシミュレーションコードを用いたかという質問にも答えていない。

Arevaは、当該プレゼンテーションが、公式に発表された書面ではないという理由で、コメントを控えているという。

福島原発事故をモニターしている欧州政府の原発担当者は、現在の危機の全貌を把握するにはこのForensicモデルが不可欠でだと、今の日本政府の状況に同情を隠さない。

“Clearly, there’s no access to the core,” the official said. “The Japanese are honestly blind.”

「明らかに、炉心部へのアクセスはない。日本の現場は正直、手探り状態なのだ。」
(以上)

ソース:カフェメトロポリス
(2011-04-04 18:10)

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